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ばあちゃんがリアルヤンデレだった件 [祖父母の笑える話]









祖父母の一周忌を終えての話。じいちゃんが亡くなった後すぐばあちゃんも追いかけるように逝ったから、

一周忌はお寺さんに頼んで、まとめてやってもらった。

じいちゃんばあちゃんの家に、結婚の報告をしに行ったときのこと。

報告しおわって、現旦那を駅まで送っていって。私はそのままじいちゃん家にもどり、一晩泊まることになった。

ちょうどその前の日、わたしは仕事で失敗して爪をちょっと割ってしまっていた。

「おまえそれどうしたんでや」と、じいちゃん。

「あんた女の子なんだから爪は大事にしなきゃいかんよ」と、ばあちゃん。

でも、そう言うばあちゃんは、左手の小指の爪がない。長く生きてれば爪のひとつふたつ、なくなることもあるのかな?と思って、とりたててたずねたこともなかったのだけど。

そのときは、気になったから聞いてみた。するとびっくり。

「あたしのこれか?こりゃあこの人が出征するときにひっぺがしてくれちったんだよ」

「なんでそんなことしたの!?」

想像しただけで痛かった。

「そりゃあ、無事に帰ってこなけりゃ困るがね」

そう言ってわらうばあちゃんは、相当なサイコさんだった。

その晩、じいちゃんがのろけ話を語ってくれたが、私にとっては全然ほほえましくなんかないものだった。


じいちゃんが出生するすこし前、ばあちゃんの叔父さんが船ごと海に沈んだらしい、という知らせがあったそうだ。

その叔父さんには仲の良いいとこの女の人(仮にキヨさん)がいて、キヨさんは叔父さんの無事を祈り、自分の髪の毛を託していたんだって。

叔父さんの死に泣いているキヨさんを見たばあちゃんは、「髪の毛ではだめか」と思ったらしい。



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そして出征前日。

「突然な、ばあさんがよ、おれんちにビイビイ泣きながら来たんだよ」

号泣するばあちゃんは無言で家にあがりこみ、居間の入り口で仁王立ち。

手にはなぜかよく研がれた小刀が握られていた。

旅支度をするじいちゃんと、それを手伝うひいばあちゃんは不安や悲しみに暮れていたのに、ばあちゃんの突然の登場にぽかん。

そしてばあちゃんは二人の目の前で、小指の爪を無理矢理はがし、血のついたまま手ぬぐいにくるんで、じいちゃんに押し付けて帰っていったそうだ。

「いきなりビイビイ泣きながら小刀なんか出すもんだからよ、『一緒に死のう』なんて言いだすのかと思ってびっくりしたよ」

その手ぬぐいを、じいちゃんは大事に取ってあって、『見せてやろうか』と言われたけど必死で断った。

じいちゃんをだびに伏すとき、一緒に燃やしてもらった。


ばあちゃんの若い頃の写真、といってももう三十半ばの写真だったけど、白黒写真の明暗がくっきり分かれるような、深い黒髪と白い肌の美女だった。

じいちゃんはばあちゃんとは遠縁の親戚で、小さい頃からどちらからともなく好きあっていたらしい。

「ばあさんは体が弱かったからなあ、家族から役立たず呼ばわりされてたのをおれがいつも助けてたんだ。

あんちゃん、あんちゃんなんていってな、そりゃあかわいかったんだぞ」

ばあちゃんは、じいちゃんのふたつ年下。本家の長男であるじいちゃんに対してばあちゃんは分家の次女で、しかも病弱だったから、両親からはあまり良い顔はされなかったそう。

「でもなあ、ばあさん、気は強かったんだよなあ」


ばあちゃんが言うには、

「じいさまは、とくだんいい男でもなかったんだぞ」

でもじいちゃんが言うには、

「おれはもてたぞ」

じいちゃんによれば、じいちゃんは少年時代、しょっちゅう近所の若妻から「モーションをかけられ」たそうだ。

今思うと、じいちゃんがもてたんじゃなくて、むかし田舎にあったっていうそういう風習だったんじゃないかと思うけど。

じいちゃんも男だから、ほいほい着いていこうとしたらしい。けど、それらはことごとく未遂に終わった。

ばあちゃんが、偶然にも毎回その場に居合わせていたからだ。

ばあちゃんがトイレに立った隙に、じいちゃんが小声で教えてくれたことには、

「気がつくと、いつのまにか十間向こうでばあさんが見てるんだよ。

それからな、ばあさんの仕業かどうか知らねえきっど、

声かけてきた奥さんの家の門に千枚通しがぶっささってたこともあったんだよ」

これを、「かわいいやつめ」みたいな顔して嬉々として語るじいちゃんも、たいがい毒されてるよ!と思った。

「いちばんたまげたのは、あん時だな。

ほれ、向かいの●●さんわかるだろ?あの人のお袋さんがな、『ちょっと雨屋にいらっしゃいよ』って言ってきたときにな」

鼻の下をべろべろに伸ばしたじいちゃんが●●さん家の雨屋の戸に手をかけたとき、あごの辺りに急に光が見えた。

「なんだべと思って見てみたら鎌でよ。振り向いたらばあさんが真っ青な顔して立ってたんだよ」

その日、ばあちゃんは生理が重くて寝込んでいたのに、

「嫌な気がしたからよ、鎌持って表に行ったんだ」

だそうな。ほんとかなぁ?

結局おれはばあちゃんしか女を知らない、ってじいちゃんは言っていた。

ばあちゃんはしてやったりという顔をしてた。


ばあちゃんは家事全般をそつなくこなす人で、いまわたしが旦那や子どもの世話を不自由なくできるのもばあちゃんのおかげだ。

じいちゃんを看取って一ヵ月後、ばあちゃんが仏壇の前で眠るようにうずくまっているのを見つけた時も、家の中にはちりひとつなく、じいちゃんの遺影は特にぴかぴかになっていた。

「おっかねえ奴だけどいい嫁さんもらったよ」

じいちゃんが、照れながら笑っていた顔が忘れられない。

二人のエピソードに私はドン引きだったけど、そこはそれ、いろんな夫婦があるものだから。

じいちゃん、ばあちゃん、今度、二人目の子が生まれます。

形は違っても幸せになれるよう頑張るね。


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